イベントサマリー
第27回丸亀市多職種連携研修会「ま~るの会」
研修会 ~地域の人たちの最終段階を温かく自然なものにするための備え~
蘇生を望まない傷病者の急変対応を考える
研修方法: プレゼンテーションと事例検討、グループ討議
講演者:独立行政法人労働者安全機構 香川労災病院 看護師長 松﨑 尚子
丸亀市消防本部 防災課 副課長 大前 博文
主催:丸亀市在宅医療介護連携支援センター
会場:丸亀市市民交流活動センター マルタス 多目的ホール1、2
開催日・時間:令和6年2月9日 19:00~20:30
対象者:地域の全医療施設・介護サービス事業所の職員
参加人数96名
参加者属性:
介護支援専門員22名、介護事業所・訪問看護ステーション管理者6名
医療ソーシャルワーカー5名、生活相談員2名、介護職員2名、ヘルパー1名、
理学・作業療法士4名、保健師3名、看護師24名、社会福祉士1名、
市役所事務職員1名、社会福祉協議会職員2名、消防署職員1名
医師8名、歯科医師6名、薬剤師9名、合計97名
アンケート回収87名 アンケート回答率 89.7%
【研修内容のまとめ】
超高齢、多死社会を迎え、心肺蘇生を含めた治療を望まないにもかかわらず119番通報をして事後の対応に苦慮する事例が問題となっている。丸亀市内にも高齢者施設・事業所は増えており、急な傷病者への対応を多職種で考える機会とした。
まず、丸亀消防の発表で、救急隊は傷病者が侵襲ある治療を希望するのか、高度な治療は望まずに自然な看取りを希望するのかを再確認したうえで次の診療機関に繋ぐ役割を担っている。しかし現場では、救命のために駆け付けるも、「心臓が止まっているなら、もう蘇生は望まない。でも救急隊には来てほしい。」「会話が出来る程度には、回復すると期待していたが、無理なら穏やかにして欲しい。」などと言う声を聞く事もあり、搬送に苦慮するジレンマを伝えた。そして香川県から出されている高齢者施設における救急搬送についての文書を示し、基本的事項として心肺停止を確認したら、心肺蘇生を希望しない旨の提示に関わらず心肺蘇生を開始する。そして除外項目の有無を確認し、かかりつけ医に連絡し指示があれば、蘇生中止ができる手順を説明した。特に注意すべきことは、Do Not Attempt Resuscitation(以後DNAR)の意思表示の有無にかかわらず、食物による窒息や急な事故など外因性と思われる場合は、蘇生が必要である。日頃から心肺蘇生に対する本人・ご家族の意向を話し合い、在宅医らと普段から関係を築くことが重要であると提言があった。また救急搬送を受ける立場の急性期病院である香川労災病院からは、DNARについて院内指針を決め本人または本人の意思をくんだ家族の希望承認が前提となると発表された。
参加者であるベテラン医師は「最期の時にどうするかを聴くのは難しい。患者さんが一人の時と、家族と一緒の時、病状の状態によっても返事の内容が変わる事はある。普段からの付き合いや当事者から声に出す時など、状況を考える必要がある。また面談用紙にサインをしたからと言ってそのまま決定事項として再確認せずに対応する事も危険。寄り添うという意識を忘れてはいけないと思う。」と説明した。寄り添うという事を心に留めながらグループ討議に移った。グループ討議では、「急に今後の事について聴くのは難しい。」という意見と同時に、「定期的にでもご家族を交えて利用者さんの様子を伝えたり、望んでいる事を聴く機会が必要だ。」「デイサービスは、とても健康な人が多いが、何でも話せるようにしたい。」との声が聞かれた。DNARの確認よりアドバンスケアプランニング(ACP)が大事で、どうしたいのかという結果を知るためだけではなく、日頃から話し合う時間を共有することが寄り添うことになる。終末期にどんな医療が受けたいのかを家族や大事な人と話し合えるようにしたいというまとめに至った。最後に「大切なことはその時のその人の意思が、周囲に繋がり適切に活かされる事である。そしてその意思は、変わっても良いんだよ。と言う事を踏まえた上で医療者として関わる事を認識しよう。」という提言がされた。4年ぶりの対面研修会は、お互いが笑顔でうなずいたり、質問し合ったり活気を感じる会となった。
(アンケート結果)
1.参加者の経験年数
2.研修の満足度
3.今回の研修はあなたの仕事に役立ちますか。
4.ま~るの会でしてほしい研修内容について希望するテーマを教えてください。